こんにちは.デイビッドです.
今回は,「宇宙工学のおすすめ参考書・教科書」のご紹介です!!
そもそもこの分野のいわゆる教科書ってそんなに多くないので,初学者はたいへんなんですよね.実際,僕も苦労しました・・・
宇宙工学を学び始めたいと思うと他分野より情報が少ない分,数少ない本の情報を全て手に入れたいと考えるようになります.(少なくとも僕はそうです笑)
特に和書は絶対数がとっても少ないんですよね.
見たことのない教科書はないというレベルまで,簡単に行き着いてしまいます.
これからご紹介するのは,現在ばちばちに使っているものばかりです.
僕の専門である,宇宙航行の力学や制御に関するものが多くなってしまいますが,今後同じような状況に置かれた方のお役には立てるかなと思います!
それでは早速 Let’s go!
★は,扱う内容の難しさを表しています.
広く知りたい!
[★☆☆☆☆] はじめての宇宙工学
入門におすすめです.話題も豊富で,難しい話はほとんど出てきません.宇宙工学のロマンや面白さをしっかりと感じ取りながら基本的な知識を身につけられる良書です.
[★★☆☆☆] 宇宙システム入門ーロケット・人工衛星の運動
宇宙システムの初学者対象に書かれているものです.平易に書かれていて,包括的に知るのに絶好の本だと思います.
[★★★☆☆] 人工衛星と宇宙探査機
序盤に宇宙工学の基本的なことが書かれていて分かりやすいし,例題も多いのでおすすめです.構造の分野と軌道・姿勢の分野についてまとめられている本です.今回紹介している中では唯一,構造力学・振動工学に関する記述があります.
「宇宙システム入門」より少し専門的です.
宇宙工学の目玉:軌道と姿勢 に詳しいもの
[★★☆☆☆] 宇宙工学入門ー衛星とロケットの誘導・制御
姿勢制御について基礎的なことを学べる本です.必要な知識は制御工学の基本くらいです.難解な部分も少なめなのでおすすめ.院試勉強法の話のときにも度々出てきたやつで,東大航空の院試で姿勢系の問題に対処したい場合は本書で戦うのがおすすめです.
[★★☆☆☆] 宇宙工学入門<2>ー宇宙ステーションと惑星間飛行のための誘導・制御
こちらは, 軌道力学についてより詳しいです. また, 軌道推定も取り上げていて、カルマンフィルタの話なども書かれているので, おすすめです.
[★★★☆☆] 宇宙ステーション入門
本書の良い点は,宇宙工学の本としては比較的新しいことだと思います.この分野の図書は,数が少ない上に古いものが多いので,貴重です.宇宙ステーションを主題に扱っていますが,全般的な軌道力学や姿勢力学を学ぶことができます.数学的な記述も丁寧に書かれているので,基礎レベルの軌道力学や姿勢に関する理論は本書から学ぶのもかなり良いと思いました.また,有人宇宙技術についても記述されている点は他書にない特徴だと思います.
[★★☆☆☆] 天体と軌道の力学
こちらは、宇宙開発感は薄いですが、古典的な軌道力学について丁寧に解説されているものです。界隈ではかなり有名な本だと思います。
[★★★★★] 人工衛星の力学と制御ハンドブック
和書最強は絶対これです.超大判太めのTHE参考書です.太いだけあって詳しい.非常に助かる.軌道力学に関しては少なめで,姿勢制御がメインです.とにかく高いし売っていないので,所持するのは不可能だと思います.大学図書館などで借りましょう.
[★★★★☆] ミッション解析と軌道設計の基礎
こちらは和書の中で軌道力学最強の本です.大判なので持ち運ぶのは大変ですが,和書でここまで軌道力学について詳しく書かれているのは本書しかないと思います.
[★★☆☆☆] 惑星探査機の軌道入門
こちらは、上記の本の著者、半揚先生の別の著書です。こちらは比較的平易で、軌道力学に関心があるけどどこからやればいいかわからないと悩んでいる学部生におすすめできます。
和書だけでは限界があるので,ついでに洋書も少し.
信頼できる洋書たち
[★★★☆☆] Orbital Mechanics
こちらは有名なChobotovさんのやーつ.論文やペーパーなどで参考文献に挙がっているのをよく見かけます.
[★★☆☆☆] Orbital Mechanics for Engineering Students
こちらは、学部生向けに書かれたもので、数値例や例題が非常に豊富で、MATLABコードもついているので、英語に抵抗がなければ、一番おすすめできます。宇宙工学科はこれを教科書にするべきです。
[★★★☆☆] Spacecraft Attitude Determination and Control
発売が1980年ということで,もはや40年前の本ですが,近年の論文などを見ていてもよく名前が挙がっているので,名著であることは疑いようがないです.どうしても古典的な話題だけになってしまうので,無理に本書メインで学ぶ必要はないのかなと思ったりします.
[★★★★☆] Space Vehicle Dynamics and Control
こちらは軌道関係の記述は少なめですが,姿勢関係に詳しい本です!比較的新しめなのもポイント高しですね.最近,姿勢制御関係でやりたいことがあるので,よくお世話になっている本です.
[★★★★★] Fundamentals of Astrodynamics and Applications
イチオシはなんといってもこれ.Valladoさんのやーつ.軌道が中心なので,姿勢関係はほぼ載っていません.宇宙航行力学の分野で,本書が参考文献に挙げられる率は異常です.それだけ世界的にも信頼されているということでしょう.使用頻度的には持ち運びたいのですが,微妙に太くて重いのがdrawback. ともあれ分からないことがあれば,まず本書から調べるようにしています.
まとめ
今回は,宇宙工学の教科書・参考書をご紹介しました.
私は学習するときに,日頃からできる限り様々な文献に当たるようにしています.一冊だけに固執するとそれこそ偏見を持ちかねないのと,分からなかった部分が他書での説明に目を通すと一瞬で分かったりするからです.それにはもちろん弊害があって,隅々まで読むことはできず,つまみ食いになってしまいます.ですので,紹介した本を中途半端にしか読めていない状態ではありますが,個人的に役に立ったもの,界隈で評価の高いものを中心に挙げていますので,その辺りはご安心ください.
今日はここまでです!またいいの見つけたら共有します〜!
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