【圧縮性流体力学入門】音速とマッハ数【第1弾】 | デイビッドの宇宙開発ブログ

【圧縮性流体力学入門】音速とマッハ数【第1弾】

こんにちは.圧縮性流体力学入門と題して,圧縮性流体力学の触りの部分をまとめていくシリーズスタートです!ネットにはすでにテキストテイストのものがいくつかありますので,そういった文献も参考にしていただきつつ,私の記事では,実際に私が学んだ際のまとめノートをベースにし,既出のものが記述を省いているような途中式のような部分まで示せればと思っています.また,そういった学びをまずはスマホやPCでサクッと確認できることは学習の初期においては重要なのかなと思っている次第です.完璧とは程遠いので,あくまでほか文献との併用は前提としていただければと思います.

 

圧縮性流体力学とは,ふつうの流体力学とは異なり,流体力学の中でも流体中を運動する物体が音速付近かそれ以上の速さをもちそのことによって,低速では問題にならなかった(一定としてよかった)流体の密度変化,すなわち「圧縮性」が運動に影響する(一定とみなせない)ような場合の力学になります(高速流体力学とも呼ばれています).つまり,ジェット機や戦闘機,ロケットのような高速で飛行運動するような物体に適用されるようなお話です.そういった飛行体そのものもですが,ジェットエンジンやロケットエンジン内部の流体の運動についても同様なので,推進工学といった分野でも重要です.純粋に自ら推進して飛ぶもののほかにも,はやぶさ・はやぶさ2などの小惑星探査機が小惑星からの砂を地球にもってかえってくる際に用いた砂が入ったカプセルも,大気突入する際,音速を超えてきますので,圧縮性流体力学の守備範囲になります.まさに航空宇宙工学ならではの学問で適用対象がエクストリームな感じが魅力かなと思います.

今回のシリーズで,音速とマッハ数,亜音速流れと超音速流れ,遷音速流れと衝撃波,垂直衝撃波(ランキン・ユゴニオの式),等エントロピー流れ,プラントルの式,斜め衝撃波などに触れていきます.

このシリーズを一周すれば,効率よくもっとも重要な概念や公式を学習できます.

今回は第一回ということで,音速とマッハ数についてです.それでは参りましょう!

音速

さて,この圧縮性流体力学では,水よりも空気が考える流体の対象になります.ですので,今後式変形時,頻繁に,「気体の状態方程式」を用います.こちらが不安な方は,もう一度高校の化学を思い出していただいておいた方が良いかもしれません.

「マッハで来た」「光速でいいねした」なんてジョークで言う人も多いですが,音速やマッハを圧力や密度などと関連づけて理解している方は理系でもほとんどいない気がしますよね.こいつらを考えるためにまずは,筒のようなものがあるとして議論してみます.左の図のように左側から蓋のようなもので空気を押すようなシチュエーションを考えます.このとき,波動は音速$a$で動くものとします.生じた波面とともに動く観測者から見た場合の波面まわりに検査体積を考えると,

連続の式から

$$\rho a A = (\rho+d\rho)(a-du)A$$

とかけます.よって,

$$ad\rho=\rho du$$

$$a = \rho\frac{du}{d\rho}$$

また,運動量の法則から,

$$\left\{(p+dp)-p\right\}A = -\rho a A\left\{(a-du)-a\right\}$$

より

$$dp = \rho a du$$

$$\rho = \frac{1}{a}\frac{dp}{du}$$

したがって,

$$a^2 = \frac{dp}{d\rho}$$

音波の場合,等エントロピー変化とみなせるので,$p/\rho^\gamma={\rm const.}$から,

$$a = \sqrt{\left(\frac{\partial p}{\partial \rho}\right)_s} = \sqrt{\frac{\gamma p}{\rho}} = \sqrt{\gamma R T}$$

これで,音速を,圧力や密度,温度といった量で表現することができました.ちなみに$\gamma$は,比熱比です.

マッハ数

マッハ数とは,「圧縮性により密度が変化する程度を見積もったもの」です.

どう導かれていくかをみてみましょう.先ほど求めた音速の式から,

$$a^2=\frac{dp}{d\rho}\approx \frac{p-p_0}{d\rho}=\frac{\frac{1}{2}\rho u^2}{d\rho}$$

であり,また,

$$\frac{d\rho}{\rho}=\frac{1}{2}\frac{u^2}{a^2}$$

となります.この$\frac{d\rho}{\rho}$こそが「密度が変化する程度」のことです.意味のある量として,$$M=\frac{u}{a}$$

のように定義し,これをマッハ数と呼んでいます.この定義を用いるとすると,気体の運動に伴う密度変化の割合はマッハ数の二乗に比例する,と言えます.

たとえば,密度変化の割合が

$$\frac{d\rho}{\rho}<5 \% $$

なら

$$M^2<10 \% $$

なので

$$M<0.316 $$

というように,密度変化の割合をマッハ数で表現していくことで便利にしようというわけです.

一方で,マッハ数の物理的意味として,

$$M^2=\frac{{\rm inertial\ force}}{{\rm elastic\ force }}$$

と考えることもできます.慣性力/弾性力というわけです.これは,運動エネルギー/内部エネルギーと捉えることもできます.

内部エネルギー$e$,運動エネルギー$u^2/2$として比を計算すると

$$\frac{\frac{1}{2}u^2}{e}=\frac{\frac{1}{2}u^2}{c_vT}$$

$$=\frac{\frac{1}{2}u^2}{\frac{RT}{\gamma-1}}=\frac{\gamma(\gamma-1)}{2}\left(\frac{u}{a}\right)^2$$

よって,

$$\frac{\frac{1}{2}u^2}{e}=\frac{\gamma(\gamma-1)}{2}M^2$$

となるので,運動エネルギーと内部エネルギーの比はマッハ数の二乗に比例します.

 

今回はここまでです.

次回は,亜音速流れから超音速流れにいたる部分で起こる衝撃波の話をします.

【圧縮性流体力学入門】亜音速・遷音速・超音速そして衝撃波【第2弾】

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