【流体力学入門】学習事項の概観【第0弾】

さて,これから,流体力学(空気力学)を手軽にネットで学べる流体力学入門講座をはじめたいと思います.今回は,学習する事項の全体を概観します.
この連載企画でご紹介するのは以下の項目です.これらが流体力学(空気力学)を学ぶ上での要点であると私は思っています.学習を始める際にこのような全体の地図を思い描くのは重要です.専門書で学ばれる際もまずは目次をしっかりと確認して,要点を抑えながら学習すると効率がよいです.

理想流体力学

  1. 連続の式(質量保存則)
  2. オイラー方程式(運動量保存則)
  3. ベルヌーイの式(エネルギー保存則)
  4. 流線
  5. 流れ関数と速度ポテンシャル
  6. 基礎的なポテンシャル流れ
  7. 渦度と循環
  8. 翼型の基礎知識
  9. 円柱周りの流れ/翼型理論

粘性流体

  1. 粘性
  2. レイノルズの相似則
  3. ナビエ・ストークス方程式(運動量保存則)
  4. ナビエ・ストークス方程式の無次元化
  5. 境界層方程式
  6. 平板境界層

圧縮性流体力学

  1. 圧縮性とマッハ数
  2. 亜音速流れと超音速流れ
  3. 連続の式/圧縮性考慮
  4. 運動方程式/圧縮性考慮
  5. ベルヌーイの式/圧縮性考慮
  6. 運動量の式/圧縮性考慮
  7. エネルギー式と質量流量の式/圧縮性考慮
  8. 一次元定常等エントロピー流れ
  9. 垂直衝撃波の基礎式
  10. ランキン・ユゴニオの式
  11. 垂直衝撃波におけるエントロピー変化
  12. プラントルの式
  13. 斜め衝撃波

やっているうちに抜けや入れたいものなどができれば随時追加予定です.

 

さて,流体力学では上記のように,粘性と圧縮性を考慮するかしないかで理論体系が分かれます.当然実際上の流体は粘性も流体も全ての効果があります.
全てをもれなく記述した場合の運動方程式というものが存在します.それが,以下のナビエ・ストークスの方程式です.

 

(1)    \begin{eqnarray*} \rho\left(\frac{\partial \bf{u}}{\partial t}+(\bf{u}\dot\nabla)\bf{u}\right)=-\nabla p+\mu\nabla^2\bf{u}+\left(\zeta+\frac{\mu}{3}\right)\nabla(\nabla\cdot u)+\rho\bf{f} \end{eqnarray*}

\rhoは流体の密度,\bf{u}は速度ベクトル,pは圧力,\muは粘性係数,\zetaは体積粘性係数,\bf{f}は外力ベクトルを表しています.
この式は二階偏微分方程式であり,解析的に解けていません.そのため,通常は,どれかの項を無視できるような条件・仮定を置くことで,解ける状態まで持っていきます.
解ける状態まで式が簡単になれば,そういった仮定のもとでの運動を完全に記述でき,色々な性質を調べることができるからです.
例えば,圧縮性を考慮しなければ,詳しくは今後述べますが,右辺第三項は0となって無視できます.さらに粘性を無視できるとすると,右辺第二項も無視できます.ここまでくると,この式は,

(2)    \begin{eqnarray*} \rho\left(\frac{\partial \bf{u}}{\partial t}+(\bf{u}\cdot\nabla)\bf{u}\right)=-\nabla p+\rho\bf{f} \end{eqnarray*}

となり,これはオイラーの方程式と呼ばれ,理想流体の基礎式となります.(歴史的にはナビエやストークスよりオイラーがこちらを先に導出しているようです.)

解けているから理論が整理されてきている.のだという認識を持つ事は重要だと思います.これは実はある先生が言っていたことの受け売りですが.その通りだなと実感したので気に入っています.

少し話がそれましたが,このナビエ・ストークスの方程式が解けないためになされてきた努力を見ていくというのが流体力学を学ぶという事だと思います.最近は,コンピュータの性能が向上したので,数値計算によって,ナビエ・ストークスの方程式を解き,流体の挙動を解析するCFD(Computational fluid dynamics)が主流になっています.

次回からは具体的に流体力学の学習をしていきましょう!

【流体力学入門】理想流体の基礎方程式の簡単な説明【第1弾】
今回は,理想流体の理論を展開していく上で重要な基礎方程式についてです.3つあります.質量保存則,運動量保存則,エネルギー保存則です.今回は定性的な導出をしてみます.ひとつずつ見ていきましょう.流れが定常であるとして,下図のような流管を考えま

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