こんにちは!!
こちらは先日,打ち上げのあった水星探査機BepiColomboの打ち上げ時のものです!
無事成功してよかったですねえ〜こういう打ち上げでよく出てくるのが左の図.
高度とか速度が変わっていく様子を見られるわけです.
この辺りのことを理論的に分かっているとカッコいいし,打ち上げを見るのも楽しくなりそうですよね!
ということで,宇宙軌道力学について簡単なお話をできれば,と思います!
そもそも,なぜロケットは必要なんでしょうか.
ずばり,地球から引力を受けているからですよね.
物体を地球の外へ送りたいと思うと,この引力に逆らって飛ばさないといけないことになります.でも,
どのくらいの速さで?どのくらいの力で?飛ばせばいいの?
という疑問が生じます.
その辺りを計算するために,物理で学ぶような先人たちの発見した法則を適用します.
これは,有名なニュートンの「万有引力の法則」で計算されます.
万物はそれぞれがそれぞれを引き合っている
というものです.今でこそ当たり前に思われていますが,かなり突飛な発想ですよね.
その引き合う力というのは,ある2つの物体を考えると,それぞれの質量の積を物体間の距離の2乗で割ったものに比例するということが発見されました.
つまり,
万有引力 = (定数)×(質量1)×(質量2)/(距離)^2.
となります.
感覚的にもマッチしてますよね.
質量の大きいものだと引く力が強そうだし,
距離が遠くなれば,引く力も弱くなる.
また,双方が引き合う力の大きさは同じです.
これは,作用・反作用の法則と呼ばれていて,
壁にパンチすれば,壁もダメージを受けますが,
パンチした人も手を怪我します.それのことです.
ちょっと不思議なのは,万有引力は物体同士が触れていなくても作用・反作用の関係が存在することです.
さて,この関係から,1つはとても質量が大きく(例えば地球)て,もう一つはそれに比べてかなり質量が小さい(例えば衛星)2つの物体だけに着目して,どういう力が働くかを考えます.
大きい方に働く加速度を考えてましょう.自身の質量で割れば加速度になりますから,万有引力の中の大きい方の質量の分がキャンセルされた量が,求める加速度で,
(定数)×(質量小)/(距離)^2
となります.
同様に,小さい方に働く加速度は,
(定数)×(質量大)/(距離)^2
となります.
ここで,大きい方も小さい方も動いているとややこしいので,大きい方が仮に静止していると考えます.その方が,小さい方の運動をイメージしやすそうですよね.
小さい方の,大きい方に対する加速度は,大きい方が動いている分を引いてやればいいので,
(小さい方の相対的な加速度)=(定数)×(質量大)/(距離)^2 - (定数)×(質量小)/(距離)^2
よって
(小さい方の相対的な加速度)=(定数)× [(質量大) ー(質量小)] /(距離)^2
となります.
さてここで,一例として,地球の質量を示します.
5.972 × 10^24 kg
対して,例えば打ち上げるものが,多めに見積もって100トンだとしましょう.100トン
は10万kgです.10万は10^5です.
5972000000000000000000000 – 100000 =5971999999999999999900000
いや,もう変わらへんやん
ということで,質量小は無視できます.小さい方を衛星だとすれば
(衛星の地球に対する加速度)=(定数)× (地球の質量) /(距離)^2
となります.ここまで大きさだけについて考えてきましたが,地球を原点として衛星の位置を示す矢印(ベクトル)を考えてもらうと,その矢印の向きと反対方向に引力が働くことがイメージできると思います.
つまり,加速度も向きをもつ(力と相関があるので力に向きがあるから加速度にも向きがあると考えてもらってもいいです)ので,向きを含めて表すと
(衛星の加速度ベクトル)= ー ((定数×地球の質量)/(距離)^2 )× (位置ベクトル)/(位置ベクトルの大きさ)
位置ベクトルの大きさと書きましたが,つまり地球と衛星との距離を表しているので,
(衛星の加速度ベクトル)= ー ((定数×地球の質量)/(距離)^3 )× (位置ベクトル)
となります.この式は,軌道力学の中で最も基本的な式です.
ちなみに定数の部分は普遍定数であり,万有引力定数と呼びます.値も分かっています.地球の質量も変わらないので,重要なのは「位置」だけということになります.
実際は,衛星には,他に様々な力が働きます.
月や太陽からの引力だったり,地球の大気の抵抗.
先ほどは地球は質点とみなしていましたが,完全な球体でもなければ,質量の偏りもありますので,そういった扁平性が影響して微妙な力が加わります.
宇宙軌道力学の分野ではこれらを「摂動」と呼んでいます.衛星の軌道を乱す要因な訳です!
その1はここまで!
次回は,この式から分かる衛星やロケットの軌道の性質を見ていきます!!
お楽しみに!!
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