スペースシャトルの復活!?米宇宙ベンチャーSNCシエラネバダコーポレーションの有翼宇宙船!

米宇宙ベンチャーSNC(シエラネバダコーポレーション)が,8日, 現在開発中の宇宙船「ドリームチェイサー」で2020年後半にISS(国際宇宙ステーション)へ物資を運ぶ認可をNASA(米航空宇宙局)から得たと発表しました!!以下SNCのホームページより引用

SPARKS, Nev. , February 07, 2018 – Sierra Nevada Corporation (SNC) received NASA’s Authority to Proceed for the Dream Chaser spacecraft’s first mission, with a launch window for late 2020. The mission will provide cargo resupply to the International Space Station under the Commercial Resupply Services Contract 2 (CRS2).

“SNC has been successfully completing critical design milestones as approved by NASA, and having a timetable for the first launch is another important step achieved for us,” said Fatih Ozmen, owner and CEO of SNC. “The team has worked so hard to get to this point and we can’t wait to fulfill this mission for NASA.”

www.sncorp.com

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物資補給の様子(イメージ図)www.sncorp.comより

ドリームチェイサースペースシャトルのようにデルタ翼(全体が三角形の形をした翼)を有していて,再利用可能な宇宙船として設計されています.実際に運用されるようになれば,スペースシャトル以来の有翼型宇宙往還機が復活することになります!テンション上がりますね!!

さてここからは,ドリームチェイサーの形状について詳しく見て,宇宙往還機の工学を考えてみましょう.

地球と宇宙を往還する飛行体には翼が必要となります.それは,翼がなければ地球の大気すなわち空気を押すことによる揚力が効果的に得られず,飛ぶことができないからです.そして,飛ぶことができないともちろんすぐに「落下」してしまいます.これは当然まずいことですが,宇宙往還機にとってはそれは致命的によろしくないんです.それはなぜでしょうか?

宇宙往還機は宇宙に出れば,一度地球の衛星となって地球の周りを周ります.その速度はとてつもなく高速です.そのスピードのまま大気に突入すると,空力加熱と呼ばれる加熱(摩擦とは違って,空気が圧縮されることにより生じる熱で加熱されます)によって,機体は厳しい熱環境に晒され,最悪の場合燃え尽きてしまいます.

空力加熱は空気密度ρと機体の速度vに依存することが知られていて,ρv^3に比例します.つまり,空気密度ρが大きい場所で速度vも大きいと,非常に大きな空力加熱を受けてしまいます.それを防ぐために,空気が薄く空気密度が小さい高高度で,できる限り減速を行い,空気密度の大きい低高度での機体の速度を小さくし,空力加熱による影響を最小限に留めているんです.その減速を行うために,翼が必須なんです!また,より大きな抵抗=大きな揚力を発生させて,効果的な減速を行うために,翼の形も旅客機のような細長いものではなく,面積の広い三角形をしたデルタ翼が用いられています.

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ホンダジェット 音速以下の速度で飛ぶ場合は薄くて細長い翼が最適

  • 丸みを帯びた形状

機体をよく見てみると,頭部や翼の縁などが丸みを帯びています.通常超音速で飛ぶ機体は超音速環境で発生し,抵抗となってしまう「衝撃波」の発生を抑えるために,尖った形をしていることが多いです.

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F-35戦闘機 頭部先端や翼の前縁は尖った形状を有している

ドリームチェイサーの構造が丸みを帯びているのはなぜでしょうか?

それは,先ほど説明した空力加熱による熱の集中を防ぐためです.尖った部分が存在するとその部分ばかりが激しく加熱され,構造の破壊を招きかねません.丸くしておくことで,全体に熱が伝わり,熱の集中を防げるのです.

  • 黒い底面

よくみると,底面が黒くなっています.実はこれも適当にデザインされているわけではないんです.先ほどから幾度となく登場している空力加熱がまた関係しています.空力加熱によって加熱されたスペースシャトルの底面は非常に高温となります.

高温となった物体は輻射(熱エネルギーを電磁波として放出)と呼ばれる方法で熱を外に発しています.具体的には赤外線を発していて,BBQや焼肉で顔が焼けてしまうのも温度の高くなった炭の輻射によるものですし,太陽光に当たると暖かいのも輻射で,太陽自身の熱が直接伝わっているわけではなく,太陽が発する電磁波(光)が当たることによって熱が生まれています.

黒色の物体はこの赤外線を最も効率よく放射することができる(物体の色によって,吸収・放射しやすい電磁波の種類が異なる)ので,赤外線による放射を促して熱をよりたくさん外に逃すことができます.そのため,宇宙往還機の機体の底面は黒くなっているんです.

熱から機体を守るためにこれだけの工夫がなされているんですね.先人のエンジニアたちは偉大ですね〜!

米では,民間の宇宙開発が非常に活発ですね!今後の動向に注目していきましょう!

今回はここまで!気に入ったら他の記事も読んでいってくださいね〜

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